政策・マーケット

米国で増えるRE100企業 再エネ導入で経費削減効果

オフサイトでの
長期電力購入が増加

ウォルマート社のように、店舗、倉庫、流通センターなどの比較的規模の大きな施設を全国に持つ企業は、電力消費が発生する場所(オンサイト)に太陽光発電導入を中心に、RE100%に取り組む。実際、ウォルマート社は全米364サイトに計147MWの太陽光発電を設置済みである。

グーグル社やアップル社も本社のキャンパス内に大規模屋根置き太陽光発電を導入し、再エネ使用を高めているが、電力消費量が膨大なデータセンターでは、屋根置きの「オンサイト設置」では、消費量に見合う発電量を確保することができない。

そこで、企業の敷地外、または電力消費から離れた比較的広い、そして送電網が整った場所に再エネ設備を設置する手法、「オフサイト導入」が増えている。これは、企業が独立系発電事業者によって開発された大規模太陽光発電所などから再エネ電力を購入する契約(PPA:PowerPurchasingAgreement)を結び、データセンターの電力消費量を賄うというものだ。

データセンターを運営する企業にとってデータセンターの使用電力料金は企業の総経費で大きな割合を占めると言われている。実際、グーグル社は再エネPPAにより、従来のエネルギーコストの変動を避け、 電力コストの安定化を図っている。同社は2010年にアイオワ州に設置された114MWの風力発電所から20年間の電力購入の契約を結んだのを皮切りに、現在米国内で計11のPPA(計1.861GW)を結んでいる。

再エネ100%に
遅れをとる日本企業

再エネの低コスト化加速により、環境だけでなく、ビジネスの経費削減に貢献度が認められるようになった再エネ。再エネ100%を掲げる企業が世界で増加する一方、日本企業は遅れをとっている。

世界の企業に再エネ100%を呼びかける活動「RE100」に現在参加している再エネ100%の企業は世界に89社(注:再エネ100%を掲げているが参加していない企業は40社)。89社のうち上記に挙げた企業を含む米国企業が31社、イギリス15社、スイス9社、などと欧州国が続く。

活動を主導する環境NGOクライメート・グループの、「RE100」のリーダーであるサム・キミンズ氏は、「(現在米国企業が再エネ100%でリードをしているが)中国、チリ、メキシコでの再エネ市場が急激に拡大しているので、それらの国に拠点を持つ企業が米国、欧米企業に近い将来追いつくかもしれません」と語った。
現在、アジアでは中国2社、インド3社が「RE100」のメンバーだが、日本企業はゼロである。


取材・文/モベヤン・ジュンコ

SOLAR JOURNAL vol.21(2017年春号)より転載

 

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